ノルウェー報告3 ~乳牛牧場と山羊牧場~

    9月10日

  ノルウェー3日目になります。今日は、イェンデスハイム・マウンテンの山小屋からレイラにある食品監督庁地方事務所まで行きます。その途中に、乳牛の放牧地と山羊の牧場を視察します。

 標高600m前後のスレッテ・フィエル・ヴェーゲンの乳牛の放牧地の農場主は31歳の女性です。4歳の時にチェリノブイリ事故があったが、まだ小さかったので何が起こったのかは全く分からなかった。学校では放射線の勉強はしたが、他の教科と同じで特別なことはなかった。数年前に父親から250万クローネ(日本円で約4250万円)で農場を購入したとか。春から秋にかけては、訪問した放牧地で生活し、冬期間は17km離れた自宅のある牧場に牛たちと歩いて戻るのだそうです。数年前まではセシウムの吸収をおさえるプルシアンブルー添加の特別飼料や岩塩を使っていたが、ここ数年は線量がさがってきているため、特別試料は使っていないとのことであった。彼女が牧場を始める時は、まだまだ影響が残っていて特別飼料を使っていたので、酪農をやるのに不安はなかったかと質問したら、対策はとられているし、この自然の中で仕事をしたかったので何の不安もなかった。もちろん風評はなかった…と。結婚や妊娠することへの不安はなかったのかとも質問したが、学校で勉強しているからその心配もないし、現在同棲している彼氏がいるとまで話してくれました。

  ヴェフレンの牧場は標高1000m。目の前に見える山の窪地には雪があります。山羊を飼っている夫婦を訪問しました。ここでは、プルシンブルー添加の飼料を見せていただきました。この10年間の月ごとの線量データも見せていただきました。そこにはプルシアンブルー飼料の使用したものと使用しないもののデータもありました。データは農家にフィードバックされていました。

 なお、山羊の乳はほとんどがチーズなど乳製品の原料になります。

 ノルウェーでは1986年の冬から1987年にかけて、家畜の生体測定方法が確立しました。1988年からプルシアンブルーの使用実験が始まり、政府が供給したそうです。30年近く経ってようやく、プルシアンブルー添加の飼料や岩塩が使われることは一部を除いてなくなりました。ノルウェー政府が「農家には損をさせない」と宣言して、経済的援助を続けてきたことが、農業者が農業をあきらめないでこれた。ここには「信頼」というキーワードあります。

 参考までに、ノルウェーでは牛の生乳も山羊の生乳も基準値は370Bq/kgです(日本では50Bq/kg)。

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 菅野 クニさんの写真      菅野 クニさんの写真

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