ノルウェー報告4 ~トナカイ牧場~


 


9月10~11日

  ノルウェーの最終日です。
  オスロまで数時間かけて行きますが、途中でもう一度トナカイ牧場に寄りました。標高1000m以上の所で、石がゴロゴロしていてワタスゲのような花(正確な名前はわかりません)などの高山植物が少しとトナカイの餌になる苔が少し生えているだけです。すぐ目の前の山には残雪がありました。
  9月10日、放牧されていたトナカイがヘリコプターに追われ、馬に守られて戻ってくるところです。100農家が待っています。3000頭のトナカイが2日にわけて戻ってくるのだそうです。
天候の関係でヘリコプターが飛ぶのが遅れて19時をすぎております。柵の中に追われて戻ってきた1700頭の中からサンプリングで40頭の体重測定と生体(ベクレル)検査をして、3000ベクレル/kg以上なら全頭検査になります。
  ここ数年3000ベクレル以上の数は少なかったのですが、今年はきのこの当たり年ですから覚悟している様子でしたが、果たして結果は?
  牛や山羊や羊のようにプルシアンブルー入り岩塩や丸薬はトナカイには使えず、全くの自然任せ。時計は21時近くなっていますが、結果がわかるまで帰る訳にはいきません。そして、サンブル検査で3000ベクレル以上のトナカイが次々といて翌日全頭検査と決まりましたので、翌朝にその様子を見学させていただきました。
  幸運にも食欲旺盛だったトナカイは3000ベクレルを超えてまた山に放されます。不幸にも3000ベクレルを超えなかったトナカイは1頭ずつ箱の中に入れられ、移動式屠殺車に導びかれて、気絶させられてから、2分後には皮がはがされているとか…
  チェリノブイリ事故から28年経っても自然をコントロールできていない現実。それでも自然と共生しながら、トナカイ文化を守リ、健康不安もなく楽しい…と出会った農家の方達は話していました。一方、年間1ミリシーベルトの呪縛から解放されていない福島の人達というよりは多くの日本人を考えると、大きな宿題をもらったような複殺な気持ちを抱きながら最終地オスロに何かいました。